福岡で注文住宅をご検討中の皆様、家づくりは一生に一度の大きなお買い物であり、理想を全て詰め込みたいけれど、予算や土地の広さに限りがあるというお悩みをお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか?

今回は、YouTubeで大きな反響を呼んだ、わずか24.3坪というコンパクトな面積ながら、「欲しい」を全て叶えた平屋の間取りについて、設計を手がけた一級建築士ママの菊田の解説を元に、その秘訣をご紹介します。

目次
1. なぜ24坪で理想が叶うのか?経済設計に隠された「匠」の技

2. 細かい寸法のこだわりが使いやすさと広がりを生む

3. LDKの広がりと家事動線の両立

4. まとめ:福岡での家づくりは専門家への相談が鍵

1. なぜ24坪で理想が叶うのか?経済設計に隠された「匠」の技

今回解説された平屋は、延床面積24.3坪(約80.3㎡)というコンパクトさでありながら、以下の要素を実現しています。

 ・ 3LDK
 ・ ファミリークローゼット(通称ファミクロ)
 ・ シューズクローク(通称シュークロ)
 ・ パントリー
 ・ 横並びダイニング
 ・ 独立洗面所(洗面脱衣別)
 ・ ランドリースペース

これだけの要素を詰め込むと、一般的には26坪や27坪は必要になるのでは、と感じる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、この住宅では、「経済設計」をテーマに、面積をぎゅっとコンパクトにしながらも、贅沢に様々な願いを叶える工夫が随所に凝らされています。

設計者である一級建築士の菊田は、「劇的ビフォーアフター」を見て設計士を志した経験を持ち、感動を見つけるために日々設計に取り組んでいます。マンションやリノベーション、小規模新築など様々な経験を経て、「建築そのものよりも、縁の設計が好き」だと気づいたと言います。そして、二児の母でもあるママ設計士として、子育てや日々の家事の視点を取り入れた、細やかな配慮のある設計を得意としています。

この24坪の平屋には、そんな菊田さんの経験とママならではの視点が詰まっています。単に部屋数を確保するだけでなく、実際に暮らす人がどのように動き、何にストレスを感じるかを深く考え抜かれた「匠」の技が隠されています。

2. 細かい寸法のこだわりが使いやすさと広がりを生む

この平屋の設計の最大の特徴は、「細かい寸法の積み重ね」による最適化です。図面上のわずかな数字の違いが、実際の使い勝手や空間の感じ方に大きな影響を与えているのです。

例えば、玄関の間口は1137.5mmという半端な数字になっています。これは、木造軸組工法で一般的に用いられる910mmピッチ(1P)という基準寸法に、その1/4P(227.5mm)を加えた寸法です。なぜこの寸法にしたのでしょうか?

単に910mm(1P)の寸法で壁を設けると、壁の厚みを考慮した有効寸法は約780mm(78cm)になります。これでは、靴を置く可動棚(推奨奥行き30cm)を設置した際に、残りの通路幅は約48cmとなり、ベビーカー(約55cm~60cm)を入れるのが難しくなります。そこで、1/4Pの227.5mmをプラスすることで、有効寸法は約1007.5mm(約1m)を確保しています。これにより、靴棚を置いてもベビーカーをスムーズに入れられ、さらに大人2人+お子さん1人の合計3人が並んで靴を履くことも可能になる、絶妙な幅が生まれているのです。

他にも、細かい寸法へのこだわりは様々です。

トイレ】
一般的な910mm x 1820mm(1P x 2P)ではなく、長手方向を約1600mmに短くしています。これは、トイレの扉(メーカーに多い1650mmまたは1450mmサイズ)を収めるためだけでなく、トイレ横のホールの空間を広く見せるため、さらにリビングドア横に照明スイッチを設けるスペースを確保するためという、複数の目的を同時に叶える工夫です。スイッチの位置は、図面確定後に決めることが多いため、設計段階でここまで考慮されているのは、将来的な不具合を先回りして防ぐ「匠」の配慮と言えます。

脱衣室/ランドリースペース
一般的な1畳サイズではなく、一部を凹ませた形状にすることで約1.5畳(正確には2.25畳)の広さを確保しています。これにより、洗濯機置き場の横に室内物干しスペースを設けても、洗濯物を干したままストレスなく着替えたり、お風呂掃除に行ったりできる動線が確保されています。これも必要最低限ながら、使い勝手を最大限に考慮した設計です。また、洗濯機の搬入を考慮して、引き戸の幅を左右で変えるといった細かい配慮もなされています。

キッチン横パントリー
冷蔵庫を置くスペース横の壁を、通常の壁厚よりも薄くする「薄壁」にしています。これにより、冷蔵庫の扉が壁に干渉することなく、約840mmの有効幅を確保しています。冷蔵庫は買い替えの可能性もあるため、扉の開きしろを十分に取ることで、将来的に冷蔵庫の選択肢を狭めないように配慮されています。これは、実際に冷蔵庫を使う動作を想像した、ママ設計士ならではの視点かもしれません。

このような227.5mmや20cm、5cmといったわずかな寸法の節約や調整が積み重なることで、全体のコンパクトさを実現しつつ、本当に必要な場所に十分な面積を割くことが可能になっています。

3. LDKの広がりと家事動線の両立

横並びダイニングキッチンは、料理の配膳や片付けの効率が非常に良いと人気のスタイルです。しかし、家具配置に必要な面積が広くなるため、一般的には20畳以上のLDKが必要とされることが多いと言われています。

この24坪の平屋では、パントリー含めて18.8畳、パントリーを除くと17.6畳という面積で横並びダイニングを実現しています。これを可能にしたのは、キッチンの一部を壁付けにしたことです。一般的なオープンキッチンでは、キッチンの後ろ側にデッドスペースが生まれがちですが、一部を壁付けにすることで、この無駄なスペースを削減し、面積を効率的に活用しています。

「一部壁付けにするとLDKの解放感が損なわれるのでは?」と思われるかもしれませんが、実際の写真を見ると、リビングとの繋がりが良く、非常に広く開放的に感じられます。これは、ダイニングとリビングが綺麗な長方形になっており、無駄な壁がないこと、そして大きな窓を設けることで外部(設けられたデッキや庭)への視線の抜けを確保しているためです。面積が大きいから広く感じるのではなく、工夫によって広がりを感じさせているのです。

敷地もそこまで広くなかったそうですが、建物をコンパクトにすることで費用を抑え、デッキを設けて庭も確保するといった、外交費用も含めたトータルでの予算感を考慮した設計になっています。

4. まとめ:福岡での家づくりは専門家への相談が鍵

今回ご紹介した24坪の平屋は、コンパクトな面積でありながら、多くの「欲しい」を叶え、日々の暮らしやすさを徹底的に考え抜かれた間取りでした。一級建築士である菊田の、細かい寸法へのこだわり、将来的な使い勝手への配慮、そしてママならではの視点が、この住宅を特別なものにしています。

「福岡 注文住宅」をご検討されている皆様にとって、土地の広さや予算の制約がある中でも、理想の住まいを実現できる可能性を感じていただけたのではないでしょうか。今回のような間取りの工夫や設計者の思想は、動画や写真を見ただけではなかなか伝わりづらいものです。図面上の数字が持つ意味や、その数字に込められた意図を理解するには、やはり専門家である設計士との対話が非常に重要になります。

間取りやデザインだけでなく、耐震性や断熱性といった住宅性能も含め、後悔のない家づくりをするためには、信頼できる建築会社、そしてあなたの要望を丁寧にヒアリングし、専門知識で最善の解決策を提案してくれる設計士との出会いが不可欠です。

福岡で注文住宅をお考えなら、ぜひ私たちにご相談ください。お客様一人ひとりのライフスタイルやご希望を伺い、今回ご紹介したような「匠」の視点と細やかな配慮で、理想を叶えるお手伝いをさせていただきます。

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