福岡で理想の注文住宅を建てることは、人生の一大イベントです。夢を形にするパートナーとなる住宅会社選びは非常に重要ですが、様々な情報が飛び交う中で、時に営業マンの言葉に惑わされてしまうこともあるかもしれません。
今回は、住宅業界のプロが明かす、住宅営業マンがよく使う、お客様が注意すべき7つのセールストークについて、具体的な事例とともにご紹介します。福岡で家づくりをご検討されている方が、後悔しない選択をするための一助となれば幸いです。
これらの情報は、必ずしも営業マンが悪意を持って使っているとは限りませんが、お客様にとって最善の選択をするためには、その言葉の背景や意味を正しく理解することが大切です。
- 目次
- 1. 「提携ローンがお勧めです」に要注意!
2. 「今月契約なら〇〇万円値引きします」のカラクリ
3. 「耐震等級3だから大丈夫です」だけでは不十分?
4. 「HEAT20 G2仕様なら冬暖かく夏涼しい」は言い過ぎ?
5. 「当社は大手だから倒産しません」は根拠不十分?
6. 「長期保証は当社の高い施工能力の証です」は勘違い?
7. 建物費用しか話さない営業マンには要注意!
8. まとめ:情報武装して、福岡での賢い家づくりを
1. 「提携ローンがお勧めです」に要注意!
住宅会社と特定の銀行が提携している「提携ローン」は、金利が優遇されたり、審査が通りやすくなる場合があるとして勧められることがあります。一見お得に聞こえますが、提携ローンしか紹介しない営業マンは、お客様にとって一番良いローンを提案しているとは限りません。
営業マンにとって、提携ローンは手続きが一つの窓口で済むため効率が良く、管理がとても楽です。しかし、実際には提携ローンの金利よりも低い金利の銀行があったり、三大疾病特約やがん保険など、より有利な条件の団信(団体信用生命保険)が付帯するローンが他にある可能性も十分にあります。
注意点と対策
【ここが落とし穴】
提携ローン自体が悪いわけではありません。問題は、比較検討せずに提携ローンだけを最善かのように勧めることです…。
【対策】
必ず複数の銀行の住宅ローンを比較検討しましょう。
金利だけでなく、団信の保障内容や手数料なども含めて総合的に評価することが重要です。
なぜその銀行のローンが良いのか、自分で納得できるまで質問し営業マンに根拠を説明してもらうことをおすすめします。
また、銀行にも各担当者がいたり、ローンセンターがありますので細かい部分は直接聞くことも一つの手ではないでしょうか?
2. 「今月契約なら〇〇万円値引きします」のカラクリ
「今月中にご契約いただければ、200万円値引きします!」のような急な大きな値引き提示は、お客様にとっては嬉しいと感じるかもしれません。しかし、適正価格で家づくりを行っている会社であれば、簡単に何百万円もの利益を削ることは難しいはずです…。
注意点と対策
【ここが落とし穴】
大幅な値引きができるということは、最初から値引きを要求されることを見越して、利益が上乗せされている可能性が高いです。言わなければ損をする、交渉した人だけが得をする、という不公平な状況を生みます。また、注文住宅は契約時ではなく、引き渡し時に売上が計上されるため、今月契約することだけが会社にとって莫大なメリットになるわけではありません。
【対策】
安ければ良い、という考え方だけでなく、値引きの裏にある事情についても考えてみましょう。
適正価格を提示し、値引き交渉を一切しない会社もあります。そういった会社の方が、価格の透明性が高いと言えるかもしれません。「なぜその金額を値引きできるのか」のロジックを聞いてみましょう。
3. 「耐震等級3だから大丈夫です」だけでは不十分?
耐震等級3は、建築基準法の定める耐震性の1.5倍の強度を持ち、数百年に一度発生する大地震に対しても一度は倒壊・崩壊しないとされる、非常に重要な基準です。これは構造計算に基づいた素晴らしいものですが、「耐震等級3だから地震がきてももう安心!」とだけ説明する営業マンには注意が必要です。
注意点と対策
【ここが落とし穴】
耐震は「一度の大きな揺れに耐え、倒壊を防ぐ」という考え方です。しかし、熊本地震のように震度7クラスの地震が短期間に複数回発生した場合、一度目の揺れで建物の接合部などが緩み、二度目の揺れで倒壊してしまうケースが多く見られました。
あくまでも、耐震は強度を表すものであり、その強度は建設時が一番数値としても高いですが、年月を重ねて揺れを経験するたびに落ちていくものなのです。
【対策】
耐震性に加えて、「制振」技術についても確認しましょう。制振は揺れそのものを抑えることを目的としており、繰り返しの地震から家を守るのに有効です。
可能であれば、耐震と制振の違いを体感できる施設があれば試してみましょう。その違いに驚くはずです。福岡県内にも体感できるモデルハウスのある住宅会社がいくつかあります。
4. 「HEAT20 G2仕様なら冬暖かく夏涼しい」は言い過ぎ?
高い断熱性能を示す指標であるHEAT20 G2仕様は、優れた基準であり、家づくりの上で非常に重要です。しかし、「G2仕様にすれば、何もしなくても年中快適に過ごせますよ!」という営業マンの言葉は、誤解を招く可能性があります。
注意点と対策
【ここが落とし穴】
HEAT20 G2仕様は、例えば福岡の地域区分(6地域)であれば、冬期間の室温が概ね13℃を下回らないようにすることを目標としています。これは最低限の基準であり、13℃では「寒い」と感じる方がほとんどでしょう。G2仕様にするだけでは、劇的に暖かく・涼しくなるわけではありません。
【対策】
G2仕様のような高い断熱性能は前提とした上で、室内全体を温かくコントロールするための提案があるかどうかを確認しましょう。
パッシブ設計(日射取得や日射遮蔽などを利用した設計)や、エアコンの設置場所や推奨される使い方まで含めた提案があるかどうかが重要です。家全体の温熱環境を考慮せず、エアコン選びを電気店任せにするような住宅会社には注意が必要です。
5. 「当社は大手だから倒産しません」は根拠不十分?
会社の規模が大きいことをアピールし、「大手だから倒産のリスクがなく安心です」と説明する営業マンもいます。確かに一般論として大企業は安定しているイメージがありますが、住宅業界においては規模だけでは判断できません。
注意点と対策
【ここが落とし穴】
住宅業界は少子高齢化の影響で着工棟数が減少傾向にある、縮小産業です。大企業は固定費(人件費など)が高いため、売上が減少すると経営が苦しくなることがあります。実際、過去には経営不振で買収されるような大手住宅会社もあります。会社の規模よりも、健全な財務状況であるか、そして今後成長していく勢いがあるかの方が重要です。
【対策】
会社の規模に関わらず、なぜその会社が今後も存続・成長していけるのか、具体的な数字(過去数年の着工棟数の推移など)を元に説明を求めましょう。
特に地域の工務店でも、直近数年間で着工棟数を伸ばしているような会社は、厳しい状況下でも顧客から評価されている可能性が高く、将来性があると言えるかもしれません。
6. 「長期保証は当社の高い施工能力の証です」は勘違い?
長期保証(例えば構造躯体や雨漏りなどに対する最長〇〇年保証)が付いていることを、「それだけ当社の施工能力が高いからです!」とアピールする営業マンがいます。これは昔からよく使われるトークのようです。
注意点と対策
【ここが落とし穴】
住宅の主要構造部や雨漏りに関する保証は、法律で義務付けられている「住宅瑕疵担保履行法」に基づき、どの会社でも第三者機関によるチェックを受け、保険に加入することが必須となっています。つまり、長期保証はどの会社もクリアしている最低限の基準であり、それだけでその会社の施工能力が他社より特別に高いとは言えません。
【対策】
当に高い施工能力を見極めるためには、「気密性」に注目しましょう。隙間が少なく、気密性の高い家を安定して供給できるかどうかが、施工能力の差となって表れます。
「気密測定」を実施しているか、そしてその数値(C値)がどのくらいかを確認しましょう。可能であれば、全棟で気密測定を実施しているかどうかが、より信頼性の高い指標となります。気密測定をしない理由はありません。
7. 建物費用しか話さない営業マンには要注意!
「建物本体の価格は〇〇〇〇万円です!」と、建物にかかる費用だけを強調して説明を終える営業マンがいます。他社と比較検討しようとすると、建物価格だけを並べたがる傾向があるかもしれません。
注意点と対策
【ここが落とし穴】
家づくりにかかる費用は、建物本体価格だけではありません。設計料、各種申請費用、地盤改良費、外構工事費、給排水工事、照明、カーテン、そして登記費用や引越し費用など、建物本体以外にも様々な費用が発生します。会社によって、建物本体価格にどこまで含まれているかが異なるため、建物費用だけを比較しても意味がありません。
【対策】
最も重要なのは、家づくりにかかる「総額(トータル資金計画)」がいくらになるかです。
必ず、全ての費用を含んだ「資金計画書」を作成してもらいましょう。
複数の会社を比較する際は、資金計画書の項目を一つずつ確認し、含まれているもの・含まれていないものを照らし合わせましょう。良心的な営業マンであれば、他社の資金計画書と比較する手伝いをしてくれる場合もあります。
8. まとめ:情報武装して、福岡での賢い家づくりを
福岡で理想の注文住宅を建てるためには、今回ご紹介したような営業マンのセールストークの背景を理解し、疑問に思ったことは積極的に質問することが非常に大切です。全ての営業マンが不誠実なわけではありませんが、お客様自身が知識を持つことで、より信頼できるパートナーを見つけることができるでしょう。
家づくりは専門的な知識が必要とされるため、素人には見分けがつかないことも多いです。しかし、今回の7つのポイントのような「落とし穴」があることを知っておくだけでも、失敗の可能性を減らすことができます。
ぜひ、ご自身の目で、耳で、そして体で様々な情報を集め、ご自身の信念で納得できる住宅会社を選んでください1。福岡での素晴らしい家づくりを応援しています!
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